’70年代のロックの頂点に位置するグループの最高傑作かその次くらいに並ぶ作品。彼らの5作目で、’75年に発表されたものだ。メタリックで人工的なサウンドだが、その表面をはがすと人間固有のドロドロした感情が渦巻いている。洗練の向うに退廃がある。

 ・ amazon : Roxy Music 05. Siren (1975) / サイレン

全英2位を記録したダンス・チューン<1>を含む、彼らの代表作のひとつ。印象的なブルーのジャケットで海の女神サイレンに扮しているのは、当時ブライアン・フェリーの恋人だったジェリー・ホール(後にミック・ジャガー夫人、その後離婚)。
前作『カントリー・ライフ』で完全に確立されたロキシー・サウンドから、さらに成熟の度合いを増した作品だ。スリリングさ、妖しさとポップさを兼ね備えた「ロックバンド」としてのロキシーは『カントリー・ライフ』とこのアルバムで完成されたといっていいだろう。フェリーのヴォーカルも妖艶さを増し、自信にあふれている。
しかしこのアルバムを最後に彼らは解散を表明。各メンバーはソロ活動に励むこととなる。再びロキシー・ミュージックとしてシーンに復活するのは、それから約3年後の1979年のことだった。(今井直也)

 ・ Spotify : Roxy Music 05. Siren (1975) / サイレン

ディスク:1
1. Love Is The Drug
2. End Of The Line
3. Sentimental Fool
4. Whirlwind
5. She Sells
6. Could It Happen To Me?
7. Both Ends Burning
8. Nighingale
9. Just Another High